当法人は、我が国唯一の浄化槽にかかわる教育研究専門機関として今日に至っておりますが、創立当初から浄化槽に関してはもちろんのこと、生活排水処理に関する環境整備上の諸問題について調査研究を積極的に行い、その成果は昭和44年および昭和63年の浄化槽の構造基準の原型となり、その維持管理基準の制定にあたって技術上の根拠とされました。
これらのことは浄化槽の製造・施工、維持管理の適正化を促し、生活環境の改善および公衆衛生の向上に大きく寄与してきました。
当法人の創立当時、浄化槽は公共下水道が普及するまでの暫定的な施設として扱かわれていた時代でありましたが、昭和58年の浄化槽法の制定、昭和62年からの小型合併処理浄化槽の開発実用化、公的財政措置制度の充実などによって恒久的な生活排水処理施設として重要な位置を占めるに至っております。
また、多くの研究成果は、浄化槽の施工・維持管理等関係技術者の養成に当たり、各種講習会の内容を充実させ、浄化槽の技術の進歩を実際に即して教育するための重要な基礎となってきました。
加えて浄化槽関係者のモラルと社会的地位の向上および関係業界の発展から、浄化槽法の制定に進展させたことは当法人の事業活動に負うところが極めて大きかったといえます。
さらに、公共下水道と同等の処理性能および放流水質を有し、水質汚濁防止の効果が高く、身近な水環境の改善に役立つ高度な機能が発揮される小型合併処理浄化槽の実用化によって、合併処理浄化槽設置整備事業の発展に果たした役割は大でありました。
しかし一方において、浄化漕の管理者(設置者)、製造・施工・保守点検・清掃など関連業界、指定検査機関、関係行政機関などが協力して、それぞれの業務の適正化、関連する業務の連携化を図るためのシステムの充実など、合併処理浄化槽が、期待に応えて十分に機能を維持できるかどうか今後に残された課題も多いと思います。
また既設単独処理浄化槽の合併処理への転換策、水処理の宿命でもある汚泥の処理対策、窒素・燐対策や膜処理技術の活用など新たな技術開発などを積極的に進めることも重要であります。